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ところが今度は、その基準を満たせる健保組合がゼロという状態になった。しかも審査には「医療機関の同意が必要」という条件まで付け加えられたため、現在まで健保組合が審査したレセプトは事実上ゼロという状況が続いている。保険者によるレセプト審査は日本医師会をはじめとして医療側が反対したが、厚生労働省も最初から腰が引けていた。レセプトの審査支払機関は健保系の社会保険診療報酬支払基金、国保系の国民健康保険団体連合会、そして後期医療で新たに加わった広域連合の三系統である。
それぞれ都道府県に分かれているため、全国で合計141組織存在する。これで国民医療費33兆円分のレセプト審査と支払代行を行っており、同時に厚生労働省にとって莫大な利権や天下り先を生み出している。そのこともあってか、厚生労働省は最初からレセプト審査の開放にはいい顔をしていない。しかし、これでは何のための規制改革かと各方面から強い批判があがったため、2006年以降、一段の規制緩和が行われた。
そしてついに2008年9月、トヨタ自動車とNECの健保組合が、まず調剤薬局のレセプトの直接審査に乗り出すというニュースが発表された。厚生労働省の認可がとれ次第、全国250の調剤薬局と契約を結ぶという。おそらく当面はジェネリック医薬品が使われているかどうかに重点を置いた審査を行うのだろうと目されている。民間企業による医療費節約の取り組みが始まろうとしているのである。ところが不思議なことに、その後の展開については、一切伝えられていない。厚生労働省の許可がとれなかったのか、あるいは許可はとれたが調剤薬局側が拒否したのか。
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レセプトデータとメタボ健診データの両方がデジタル化されて健保組合に蓄積されるため、健保組合=会社は、あなた自身よりも詳しく、あなたや家族の健康状態を知ることが可能になる。健保組合がビッグ・ブラザーとなって社員と家族の健康を見守るのだ。
その先に待ち受けているのが、保険者による「被保険者の指導・教育機能」の強化ということである。とりわけ中高年は、もはやそこから逃れられない。メタボを診断された社員に対して、独自のメタボ対策コースを用意する企業が現れ始めている。保険者の出費を減らすためには、被保険者が汗を流さなければならない。何となく本末転倒のような話だが、保険者に健康・医療データが集中することになる以上、そうした動きが出てくるのも、むしろ当然と言えるかもしれない。
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